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カテゴリ:JAZZ日記( 8 )
Voyage / ナ・ユンソン
b0037434_2361652.jpg年末年始にソウルに行っているときに買いました。すでに何度も聴いています。Memory LaneやWith Refractoryは、私にとってはやや異色なアルバムでしたので、それより前のアルバムの系列上にあると感じましたが、歌は著しく前進しています。

例えば、"Down by Love"と聴き比べると、この間の年月がしっかり歌に積もっている感じ。"Down by Love"が駆け出しの歌手の歌に聴こえるくらい、"Voyage"からは時間の重さがひしひし伝わってきます。

音数が少ないので、スケールが小さいと感じてしまうかもしれません。しかし、ナ・ユンソンさんの歌を生で聴くと、とてつもない迫力です。小さい声でささやくように歌うところから、爆発的な声量でロングトーンを聴かせるところまで、広い広い広い幅を、縦横無尽に行ったり来たりしながら、楽器の演奏者がうらやむくらいに自由な表現をしてしまいます。つまり、このアルバムでは、抑え気味の歌い方を強調しているだけです。

表現の仕方は、全体的に必ずしもシンプルではないので、ジャズ・ボーカルの王道を求めているかたには、合わないかもしれません。王道なジャズ・ボーカルのように、すっと伸びる直線や、素直にはね上がった曲線など、シンプルな要素だけで曲を構成してはいません。

細い筆から太い筆まで、瞬時にあれこれ持ち替えながら、筆の毛の一本一本を別々に使うかのように、複雑な曲線を、ときには薄く、ときには濃く描いている、と思えば、これはこれでひとつのボーカル・スタイルだと思います。また、もはや誰も追随できないところまで行って、独自な境地を切り開いているとも思います。

ナ・ユンソンさんの歌を日本で聴くことは、ほぼ不可能に近いでしょう。運良く一度でも聴けた私は幸せだったと思います。このボーカルを聴いた上で、同じ会場で別のジャズ・ボーカルを聴けるかどうかは疑問と思えるくらい、印象に残りすぎています。

この歌の雰囲気に近いものは、日本の歌手で言えば、KOKIAさん以外では感じたことがありません。歌と、ほんのわずかな楽器だけで、一時間を超える時間、お客を自分の歌に釘付けにできる歌手は、めったにいません。

あの・・・ナ・ユンソンさんを、もっと日本に呼んだらどうでしょうか。特に女性にお勧めします。ジャズ・ボーカルと言えば、だいたいちょっと年が上の男性しか聴きに行かないものですが、このボーカルは普遍的です。女性が聴きに行っても、いかんともしがたく心を揺さぶられてしまうと思います。

日本でなかなか聴けないのがもったいない。こんな良い歌は、やっぱり生で聴かないと。一生に一度くらいは。

http://www.yesasia.com/us/%E3%83%8A-%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%BD%E3%83%B3-voyage/1011948299-0-0-0-ja/info.html

追記 : このアルバム、今は韓国盤のみの発売ですが、4月にはACTというレーベルから英語版が発売されるようです。
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by tmasada2 | 2009-01-20 23:11 | JAZZ日記
ソウル7日目・・・やっと、ペ・ジャンウンさんのライブを聴きに行けました
2009年1月4日 (日)
場所: ソウル, ホンデ, Club Evans
メンバー: ペ・ジャンウン배장은(P), イ・スニョン이순용(B), イ・サンミン이상민(Dr)

今日、ホンデにあるclub evansというジャズ・クラブで、ジャズ・ピアニストであるペ・ジャンウン배장은さんの演奏を聴きました。

そもそも、ソウルでジャズ・クラブに行くのが初めて。しかも、2006年秋くらいにこのブログでとりあげて以来、いつかは行きたいと思っていたペ・ジャンウンさんのライブに、やっと行けました。今日はピアノ・トリオで、私にとっては最高の構成。

さらに、ミーハーで申し訳ないですが、サインをもらってきました。
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ちょっとだけ韓国語で話しもしました。

演奏は、期待どおり。とても素直な演奏。音数が多くなく、一音一音がとても丁寧で、抑制が効いていて、しかも、適度にcrazy。私が好きなジャズ・ミュージシャンの要素をほとんど持ってるピアニスト。

まあ、そんな音楽的なことはさておいて・・・たぶん、韓国でジャズ・ミュージシャンとしてやっていくのは、日本以上に難しいんです。彼女は、ファースト・アルバムと今回のセカンド・アルバム「GO」の間に、企画アルバムとしてモーツァルトの曲をジャズ風に演奏するというアルバムを出しています。

なぜなら、韓国では、ジャズはまだまだポピュラリティーを得ていなくて、すでにポピュラリティーを得ているクラシックを経由してリスナーに訴えるような迂回路をとらないと、まだまだ一般の人たちに受け入れられない。

このセカンド・アルバム「GO」も、今日のライブの曲間のMCによると、本当はもっと早くに出るはずだったそうですが、遅れに遅れて発売となったようです。だから、アルバム7曲目にある「Infinite Patience」という曲を作ったのだとか。このあたりにも、韓国でジャズ・ミュージシャンであり続ける難しさが出てるのかも。

でも、とにかく良いピアニストです。これほど音楽に対して誠実で、真摯に演奏してくれるピアニストも珍しいのではないか、と。余計な自意識を完全に消し去って、自分を通して湧き上がってくる音楽を、そのまま聴く人に伝えられるピアニストです。

音楽を演奏するということがどういうことか、ピンと来ていない人には、たぶん、物足りなく感じると思います。ジャズ・ミュージシャンって、本当は、あまり強く自己主張していてはいけないのですが、そういうジャズ・ミュージシャンが多く、また、そういう人に限って売れたりするので、ペ・ジャンウンさんのように、本当に素直に音楽をしている人の良さが、なかなか伝わりにくいのかも。

ただ音楽をしているだけで、何が悪いのでしょうか。自分のやるべきことはこれなんだ、と、そういう気持ち以外に、ミュージシャンに何が必要なのでしょうか。

みなさん、あまりにも、ミュージシャンの自意識や(偽りの謙虚さや親近感も含めた)自己演出に、ごまかされすぎですよ。

もっと注意して、音楽を聴かないと。音楽だけを聴かないと。音楽以外のものに騙されずに、音楽だけに集中するならば、ペ・ジャンウンさんのピアノ、こんな良い音楽、めったにないと思いますよ。
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by tmasada2 | 2009-01-05 01:22 | JAZZ日記
韓国ジャズメモ。
http://www.clubevans.com/
http://www.clubpalm.co.kr/
http://www.onceinabluemoon.co.kr/
http://www.chunnyun.com/
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by tmasada2 | 2008-12-18 23:01 | JAZZ日記
Dedications / 天野丘 ・・・ どうせ日本のJAZZ応援するならこういうのにしたら
日本のジャズのマーケットは、何とぃぅか・・・。どうせなら、こういうの、応援しない?パート2です。うまいジャズのミュージシャンは、不必要に弾かない。やたら速く弾くとか、やたらたくさん弾くとかは、ずばり、お子様ジャズ。
Dedications
天野丘 / / gu roove(DDD)(M)
ISBN : B001AMRB1I
スコア選択: ※※※※※
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by tmasada2 | 2008-09-19 23:19 | JAZZ日記
山田穣 ・・・ 完全復活とぃぅ
レベルの高いミュージシャンが多い割にはリスナーが少ない国内のモダン・ジャズですが、「Swing Journal」を熟読していたら、アルト・サックスの山田穣さんが完全復活されたことを知りました。でも、東京から遠く離れたところにいる私には、聴くチャンスがほぼ皆無とぃぅ・・・。
http://www.ne.jp/asahi/jiyou/yama/top.htm
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by tmasada2 | 2008-09-07 16:22 | JAZZ日記
Eastern Sky・・・韓国のJazzピアニスト、ペ・ジャンウンさんの新プロジェクト
今月末にレコーディング・セッション、秋にアルバム発売とぃぅ。メンバーは以下のとおり。
정수욱(チョン・スウク) : ギター、ライブ・サンプリング
배장은(ペ・ジャンウン) : ピアノ、キーボード
Mike Maher : トランペット
Justin Gray : エレクトリック・ベース、ベース
Adam Teixeira : ドラム
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by tmasada2 | 2008-08-14 11:45 | JAZZ日記
え?ジャズ聴かないの
ブログにはこまめに書いていないですが、CPOPだけじゃなくて、ジャズのCDも、月に4枚ぐらいのペースで買ってるんですよ。東京に来てから買ったジャズのCDを紹介しましょう。まだほとんど聴いてませんが。

Our Thing
Joe Henderson / / Blue Note Japan
ISBN : B00004YTWI

まずこれ。ピアノがAndrew Hillなので買ってみました。Andrew Hillは、2007年4月20日に亡くなっていたのだそうです。ご冥福をお祈りいたします。かなり個性的なピアニストですが、聴き方(特に、彼独特のリズム感)が分かれば、意図の明確な演奏だと分かると思います。

インターコンチネンタル
ジョー・パス / / ユニバーサル ミュージック クラシック
ISBN : B00024Z97I

次は、Joe PassのIntercontinental。私が買った初のJoe Passの音源です。とりあえず分かりやすい編成での演奏で聴いてみようと。これから聴きます。

ジュニア
ジュニア・マンス・トリオ / / UNIVERSAL CLASSICS(P)(M)
ISBN : B000XAMDDE

それから、Junior ManceのJunior。ピアノトリオはいろいろ聴きあさっています。とりあえず、ピアノトリオということで、これも聴いてみようと思ったしだいです。これから聴きます。

ヒア・イズ・フィニアス(完全生産限定盤)
フィニアス・ニューボーン・Jr. / / ワーナーミュージック・ジャパン

最後は、Phineas Newborn Jr.です。World of Pianoが好きなので、別のものも聴いてみようと思って買いました。かなり若いときの録音でしょうか。

以上が、この年末年始に東京で買ったジャズのCDでした~。
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by tmasada2 | 2008-01-04 12:36 | JAZZ日記
2006年2月28日(火) 目黒 Blues Alley Japan
2006年2月28日(火) 目黒 Blues Alley Japan
Nah Younsun (Vo),
David Neerman (Vib), David Georgelet (Ds), Yoni Zelnik (B)

このブログ、元々は、ジャズのライブを聴きに行ってその感想を書くという目的で作った掲示板から始まっているのですが、最近は忙しいこともあって、なかなかジャズのライブにも行けずにいました。Blues Alley Japanは、家の近くにあることは知っていたんですが、ジャズを聴きに行くという意味では「?」な出演者が多い会場なので、足を運んだことがありませんでした。今日、初めて行きました。たぶん禁煙じゃないですかね。少なくとも、今日はタバコの煙を全く感じませんでした。そういう意味で、最高でした。他のジャズのライブ・ハウスも、禁煙になってくれないかなぁ・・・。

今日のリーダーは、ヴォーカルのナ・ユンソンさんです。名前から分かるとおり、韓国の方で、今はフランスにお住まいです。お名前をハングルで書くと、나윤선です。彼女のCDは、2枚持っています("Down by Love"と"So I Am...")。正直に言えば、ジャズのアルバムだから、というよりは、韓国人の歌手だから、という理由で買いました。そういう意味で、今回のライブに行く前は、聴いた感想をどういう文脈で書けばいいか迷うことになるのではないかと、ちょっと心配していましたが、聴いて安心しました。

非常にテクニカルな音楽をやっているにもかかわらず、小さくまとまっておらず、かなり大胆です。それに、クオリティが高かったです。完全にヨーロッパ系のジャズで、そういう意味では、ジャズとしてはあまり好きな方向性ではないのですが、完成度がかなり高く、ちょっと・・・というか、かなり感動しました。これは、機会があったらぜひ聴きに行ってください・・・といっても、聴く機会はめったにないと思いますが。

ジャズは、一番小さな音と一番大きな音との音量の差が、クラシックよりも大きい、と言われることがあります。一番小さな音は、決して大げさではなく、頬を羽でこするような音です。一番大きな音は、お腹がズシズシと振動するような音です。ナ・ユンソンさんは、この音の量の幅を、自分の肉声できちんとカバーできる人です。もちろん、マイクは使っているのですが、今日はステージのすぐそばに案内されたので、マイクでどうにかしようという歌い方ではないのは、十分分かりました。たぶん、ものすごく練習してます・・・って、プロだったら練習するのはあたりまえかもしれませんが、この安定感は驚くべきものです。

30秒を余裕で超えて続く、全く揺れの無い、しかもかなり大きな声でのロングトーンを、今日聴くとは思いませんでした。これだけ長いと、途中から、人間の声じゃなくて、楽器の音に聴こえてきます。ノイズっぽい音とか、擬音とか、打楽器的な音とか、非常に音程が高い裏声とか、声をありとあらゆる仕方で使って、しかも、変拍子の曲も多いし、相当難しいことをやっているのですが、無理してる感じが全くなかったです。

モダン・ジャズ的な、オーソドックスなジャズを期待すると裏切られますが、音楽表現として触れてみる価値は十分にあります。

ちょっと気になったのは、2nd setのうちの一曲だけ、演奏の方向性がまだ固まっていないように感じられた曲(ヴィブラフォンのアドリブが若干単調だったので、この曲にまだ明確なイメージが定着していないのかな?と思った次第です。ツアーをしながら、イメージを固めていくのかもしれないですが。)があったことです。それ以外は、良かったです。いくらでも集中して聴ける音楽でした。

1st setの最後は、ベースとヴォーカルだけで、「ベサメ・ムーチョ」だったと思います。ベサメ・ムーチョという言葉が歌詞に入っている曲が他になければ、間違いないと思います。他の曲はすべてオリジナルでしょうか。

まあ、このヴォーカルは、濃いです。楽器の皆さんが、ちょっと淡白だったかな。ヴォーカルがこんなに激しくて濃いのに・・・でも、これで楽器も濃かったら、ちょっと聴いててしんどかったかもしれませんが。濃いけれど、基本的には、明るいです。曲自体も暗めのものが多かったですが、技術的でありながら、大胆で、力もあって、のびのびしているので、明るいです。

とにかく、良かったと思います。次はいつ日本にくるか分からない、と本人もおっしゃっていましたが、機会があれば聴きに行ってみてください。
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by tmasada2 | 2006-02-28 23:35 | JAZZ日記